前ブレもなく 突然 97歳の母を訪ねる。 介護施設にいるので 簡単にホイホイと会える訳ではない。 まるで 極悪囚人との面会の様に まず 係の人に連絡して・・ 外で待たされて・・指定の場所(外の灼熱の庭)で待つ・・。
汗がダラダラ 流れ出しそうな頃にやっと 母が 係の人に連れられて ガラスの向こうに現れる。 携帯で声は通じているが・・やはり ガラス越しでは なんか 会ってる気がしない。 スタッフが慌てて 彼女の身なり等を整えてくれたのが見て取れる。
夢のようだ・・としきりに同じ言葉を繰り返して涙ぐむ母。
かわす言葉も無く・・そうそうに引き上げる。
次の日の早朝 6時前だったろうか・・ 私が泊まったホテルから 徒歩10分ぐらいで 母の介護施設に行ける。 なので 散歩がてら言ってみる。
その時 空を見上げたら とてもきれいな 雲の浮かぶ空だった。
介護施設の敷地に 侵入して 母の部屋がある所の外側に きて 母の携帯に電話してみる。 歳寄りだから きっと早起きしているだろうとにらんだ。
介護施設の人を通したら 又 ややこしいので 抜き足・・差し足で 敷地内に侵入。 電話を何回かかける。 すぐに保留になる。 数回かけて やっと通じた。 そして 窓の外を見て! と言うと 彼女はやおら窓の近くには来たらしい。
しかし 彼女の部屋は二階なのだ。 その真下に私は立っている。 介護施設の敷地は 建物のすぐ横に高い塀があるので 下がって母の部屋から見える所には私は立てないのだ。 私の立っているのは 窓の真下の位置しか立ない。 母に 「真下! 真下をみるのだ~!!」 と叫ぶと必死になって 15cmぐらいしか開かない窓を開けようとしている。
私がそれ以上開かないよ! と叫ぶと 頭を少し窓から出して やっと真下を見てくれた。
そして 彼女は私の存在を発見! そして 「又きたの!~」 とか 「下のガラスから見えるからそこに行くから!」とか叫んでいる。
私はあわてて・・・ダメダメ! と叫ぶ。 係の人に見つかったら 怒られるから! 又 後で来るから! と言って彼女を止めた。
それでも 彼女はうれしそうに 目がちょっと窓から出るくらいだけだったけど・・喜んでいる様子だった。 頭の毛もボサボサで立ち上がっていた。 声も係員の監視の元ではない 自然な生き生きとした声を張り上げていた。
頭が出せないで歯がゆいようだった・・。二階の窓だから 落ちないように 15cmぐらいしか開けられない様にしてあるのだなぁ~ と思った。
思ったより 97歳のわりには 頭もしっかりしていて・・ すぐに私の名前を呼び・・私がニュージーランドからはるばる来たのに驚き そのうえ Rogerの名前もすぐ出て来て・・会話もシッカリしているのには・・・私は驚いてしまった。
なにより 思ったのは 彼女は驚き 喜び 感情の起伏もあったのにも 私は驚き うれしかった。
そのあと 夫と二人でホテルで練習した ”おはら節”のダンスを母に披露すべく介護施設に向かう。
本当は午後にしか面会はできないんです・・と言う係の人を無視して・・ 小さいスピーカーでおはら節を流し・・訳のわからんタコ踊り的 おはら節のダンスをRogerと二人で踊った。
母は 係の人の用意した椅子なんか完全に無視して ガラスに体全体をへばりつかせて 自分もおはら節を踊らんばかりにはしゃいでいた。
このまま ちゃんとシッカリした感情をもって 楽しく生きて欲しいと思った。
次の日に配達されて 彼女が受け取れるように 私の使っているお気に入りの口紅を彼女の介護施設に ネットで買った。 |