今 非日常の時間を過ごしていると・・ そして 誰ともつるまないでいると・・ 色んな事を回想する。多分 自分がこの歳になったから・・ 回想と言う作業をするのかもしれない・・。
私の2番目の夫(私は3回結婚している)は イギリス人。 私より 13歳上で7人の弁護士を抱える法律事務所を持っていた。 自分自身でも弁護士として働いていた。
裁判をして負ける事はまずない・・と沢山の人から言われていた切れ者だった。
そんな彼が 私と結婚したのだから 相当の変わり者であったのは確かかもしれない・・。 18歳の時にイギリスからやって来て クライストチャーチで大学を出て 弁護士になったのだが・・ 大学の時に一緒に住んでいたのは インド人だったとか・・。
クライストチャーチで弁護士をしている連中は 全員 高校もおぼっちゃんしか行かない私立の有名校。 彼はそんなやからとは 完全に打ち解けられず・・ 常に ハミゴ的存在だったとか・・。
弁護士連中は 特殊社会をクライストチャーチ内でこしらえ その中での社会でしか 生活はしない。 一等地に住み・・ お嬢様を嫁にし・・ オハイソの生活をする。 もちろん 子供もオハイソの行く学校にしか行かせない。 つまり 絶対に 他のは交わらないのだ・・。
彼も 最初は頑張った・・ 一等地に屋敷的家を構え・・ テニスコート、 プール、 ディナーパーティー、 ワインパーティーとか・・にいそしむ・・。
が 所詮彼は そんなのが 欲しかった訳ではない・・。 元妻に 別れてからも やいのやいのと そのオハイソ生活を強要させられた。
よって彼の弁護士事務所からの収入は大体が 前妻の元に流れた・・。
彼が私に会った頃は 彼の弁護士事務所の弁護士達は そのオハイソお嬢様とは違う 弁護士なりたて 無経験ユダヤ人女、 中国人女、 とか 到底弁護士として 普通は雇われないだろう人たちが 彼の事務所で雇われていた。
が! 彼女らの動きは めざましく・・ 彼自身のひねり出す収入の何倍もの 収入をえるぐらいの とんでもない弁護士に成長したのだ・・。
そして 彼自身は 相当のアル中。 弁護士事務所をちゃんと 経営はしているギリギリの所で アルコールに浸っていた。
彼がバーで飲んだくれ どうにもこうにも手がつけられなくなると・・ 私に連絡が来る。 みんなどうにも彼をコントロールすることができないと なると連絡が来る。 私しか 彼をどうにかできる人はいないのだ。
私が行くと 大人しく 私の車に乗って 家に連れ帰れるのだ。
私は アル中専門の心理学者のカウンセリングを受けた。 最初は そのカウンセラーは 絶対 今すぐ彼と別れた方がいいとばかり言っていた。 と言うのも 彼のアル中は 絶対に 治るレベルではないから・・ と言う理由だった。
が 私は そのつもりはなかった・・ 。 とりあえず アル中の人を知りたいが為にカウンセリングをうけたかったのだ。 そして 膨大な情報を得 色々学んだ・・・。
結局 彼とは 別れる事にはなったが ・・ 彼は 偉大なる哲学者である事には間違いない・・。 私が 今の夫と結婚する時に 彼は 夫の引き継ぎをしたいと 今の夫とあった。
その時 Norikoを頼む。 自分が彼女を死ぬまで面倒見るつもりだったが・・それができなくなったので・・残念だが・・ お前なら Norikoをあずけられる。 よろしく頼む・・。と・・ 立派な引き継ぎをした。
彼の生き様をツラツラ考えるに・・ けっこう壮絶だったかもしれない。 2・3歳の頃には 彼の母親は死んでいる。 母親は 相当の名家のお嬢様だったが・・ 死ぬとすぐ彼と彼の兄弟 そして 父親は その名家から縁を切られた。
そして 精神分裂症だった父親は ニュージーランドに移住はしたが・・中年から老年にかけて・・ 奇行が過ぎて 精神病院に入れられ・・ そこで死んだ。
彼の前妻の息子は 小学生の頃から麻薬付け。 その息子は ありとあらゆる麻薬中毒者の人生を歩む・・タイに入り浸る・・刑務所を出たりはいったり・・ やがては 30歳の頃 タイで 自殺して死んでしまうのだ。 私には いつも 優しい人だったけど・・。
前夫もまた 自殺をはかった事が何回もある・・。 が 死ねなかったらしい・・。彼が言っていた言葉・・"人間にとって一番辛いのは 孤独" 。
前夫は 人間のする どんな事でも 許す事が出来る。 と言う事は どんな人間とでも 仲良くやりたいと思っているのだ。 本当に 私から見ると そんな人間自体が この世に存在していると言うだけでも 奇跡にしか思えない。
普通の人間は 毎日 毎日 ささいな事に悩み 嘆き 恨み・・卑下し・・と そんな事は ゴマンと 日常に溢れているのだ。
が 彼は そんな事は どうでもいいのだ・・。 どんな事でも 受け入れ 許す事が出来る。 それだけ 誰しも 弱いのだから・・。 それだけ 誰でもどうしようもないのだから・・。
でも どこを どう頑張ってみても・・ 彼自身 孤独に苛まれる事からは のがれられない・・。と 彼はよく言っていた・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿