2021年12月19日日曜日

70歳の回想

 私は 親から憎まれて育った。 人は 「そんな事ないでしょう! 親はどんな子でもかわいい物なの!」と言い切る。

それは その人が かわいがられたからだろう。 普通は親は子供を煩悩として可愛がる。 自然な事だ。 だが 親に憎まれて育った人もいるという事も 私は知っている。 

子供が憎らしくて仕方がない・・と言う人にも出会った。 その人はすぐ 子供を置いて離婚した。 そして 私の様に 完全に憎まれて育ったという人にも数人であった。

なので 現実にそういう事はあるのだ。

そして 親から罵倒された 一言一言が 心に突き刺さって 一生抜ける事はない・・。 そこから怒りのエネルギーが 私の一生を支えて来たと言っても過言でもないだろう・・。

そんな中 最近・・自分が老人になり・・片親も他界し・・もう片親は94歳でもう ほとんど抜け殻だ。 私のこの怒りをぶつけたとて 多分 ヘラヘラと笑うくらいだろう・・。

そして 今 ツラツラ考える。 私が 一生忘れられない言葉 「典子ちゃん あんたはとってもきれいよ! 自信を持ちなさい!」 と叔母が言った事だ。

言われた声を聞いて そちらの方を見ると ニコニコして 叔母が柱によっかかり 腕を組んで・・ 私を見つめていたのだ・・。

今まで 言われた事も無い 初めての言葉・・。 それは 私が 28歳の頃。 70歳になった今でも 鮮明に叔母の立ってたその姿が思い出される。

それから 私が48歳の頃 ナイトクラブにダンスにでかけたら・・ ダンス仲間が 

"You are stunning!" と言ったのだ。 そんな事 言われ慣れている人は五万といるだろう・・。 だが 私は その時初めて言われて 今でも 2度と言われてない。

その言葉を言った彼は独り者であり・・そして 大きな屋敷に住み・・色んな事業を手掛け・・ 女が集まって来て仕方が無いという奴なのだ。

そして 彼はいつも 中年でありながらも 若いゴージャスな女を連れて コンサートとか 高級レストランとかに出かけていた。

そして 彼が私に言った言葉が忘れられない。 「僕は君との子供を設けたい」 

私は な! なんだ~?! 私 あんたとエッチとかしたくないけど! と言うと そういう意味ではなく・・体外受精でもいい・・つまり 君の遺伝子と僕の遺伝子を持つ子供が欲しいのだ。 

「僕は真剣だ。 子供が欲しいとは思うけど この人との子供が欲しいという人とは出会ってないのだ!」 と言う。

ん~~!! 私は唸った・・なんとなく納得する・・。 子供を作るという事は 結婚して自動的にできるという考えしかなかったが・・自分の遺伝子は自分の気に行った女の遺伝子を持つべき・・と言う 結婚とは別の所からの考え方なのだ。

やはり 私のとっさに出て言葉は 「私の子供は 私と子供と一緒に住む子供の父親でなくてはならない」なのだ。

でも 私は 今でも思うに それは 彼の私に対する最高の誉め言葉でもあるなぁ~ と思わずにはいられない。

彼が社会の落ち個ばれであったり・・・持てない男だったりしたら話は別だが・・彼はゴージャスな女、それも若いのも中年も ガンガン寄って来る。 彼はそれらの女を飾りには使うが それ以上の関係には一切ならない生き方をしていたのだ。

今になって考えると 私って もしかしたら まるでファッションモデルとかいうレベルの女だったり モテモテゴージャス女だったりする輩より 上を行ってたのかな・・?

と思うと ニヤリとする。

0 件のコメント:

コメントを投稿